ある手品練習法の記録

2021年頃行っていた手品の模写について

当時私は自分のタッチに大きな不満を持っていました。何に不満があるのかすら分かっていませんでした。以下に記すのはこれを解消しようと行った練習法です。

概要

手本とする手品を用意し、模写する。

必要なもの

手本とする動画とそれを1/10倍速にしたもの。
2つの動画を同時に再生できるアプリ。以下の機能があるとよい。それぞれの頭出しを調整できる/スロー再生やコマ送りができる。

手順

  1. 手本の動画(1/10倍速)を繰り返し見ながらカードを持つ指の位置や手の動きを確認し、覚えて練習する。しばらく練習したら動画に撮影。
  2. 撮った動画と手本を同時再生アプリで再生。基本的に自分の動画の方が遅くなるので頭出し等を調整して遅れる原因を特定。持つ位置や動きが違う場所を見つけ、自分が不合理な動きをしていることを確認。気づいた個所と改善案をノートなどにメモ。
  3. メモを基に動画を再度確認し、動きを修正して再度練習する。
  4. 手順2,3を1日1サイクルを目標に繰り返す。
  5. 半月から1か月を目処に妥協点を見つけて練習を打ち切り、別の手順に取り掛かる。その間も先の手順の練習は続け、100日を目処に(クオリティに問題がないと判断すれば)SNSに動画投稿する。


補足

1日の終わりに動画を撮り、翌日日中の隙間時間等で動画を確認し、夜練習するようなサイクルにしてた。
初めから全て覚えようとするのは難しかったため、フェイズごとやきりの良いところで分割し、慣れに応じて増やしていくようにしていた。
SNS投稿はモチベーション維持のために行っていたが、承認欲求が満たされるばかりで何も得るものがないので取りやめた。模造を目的とした模造品に過ぎないので。

実際に取り組んだ手順

Ace Opener, Taryl, SHIKAKU
Oil and Water, Chitose, Hydrangea
Quick Sandwich, 高重翔, LITTLE GIANT※コントロールは省略
Ace Opener, ねすもあ, レクチャーマラソン
'Social Distancing' Card Magic!?, Do Kimoon, (YouTube)
The Card Across, Harapan Ong, Principia
Hold the Mayo, Bill Goodwin, Reflection
After, ARS, simplicity
Shaaken, Helder Guimaraes, (出典不明)
Siguiendo a Vernon, @RobertHouden, (Youtube)

 

注意していたことなど

あくまでも練習であってレパートリーを増やす目的ではないため手法の好き嫌いは無視する。
すでに習得している(ことにしている)技法で構成された手順にする。
クイック&ビジュアルな手順にする。
同じ人の手品は1つまで。誰かになりたかったわけではないので。
完コピはうまくなるための手段であって目的ではないことを自覚する。
セリフは省略。そこまで手を回す力はなかったため。
最後3つは完成前に中止した。
手順選択について思うことがある方もいるかもしれないが、完璧な選択ができたのならばこんな練習に取り組む必要などなかった。


振り返ってみて

この練習を行った期間を境に自分の手の動きが以前よりも大分マシになったという感覚を強く感じています。恐らく不合理な動きを発見して言語化し、取り除こうとする取り組みの中で自分好みの所作や扱いに気が付いたり身についたりしたからではないかと考えています。また、ほかの技法や動きを改善しようとする際にもここでの経験が役立ってくれているように思います。

練習にあたって影響を受けた記事

omozidef.hatenablog.com

 

追記

当時のメモを漁ったら「なぜQuick and Visualを練習するのか」と書かれた頁を発見したので一部を抜粋します。
意味のある練習を行いたい。
カードの取り上げ方を1つしか知らず、デックを右手から左手に渡す方法も1つしか知らない。バリエーションを増やすことで選択肢を得たい。
そもそも苦手意識のあるパケットトリックやQuick&Visualを練習しようというところから始まった。
なるべく真似ることで前述の通り持ち上げ方や置き方を身に付ける。
奇麗にできるなら厳密な真似でなくてよいと思う。とはいえ満足したら成長できなくなる。
自己目的化しないように気を付ける。